ウェルスナビって実際どうなの?
NISA制度が刷新されて、テレビCMでもウェルスナビのような自動資産運用サービスが紹介されています。
ウェルスナビをはじめとする自動資産運用(ちょっと前は、ロボットアドバイザーとか呼んでた)は、AIが分析し、リスク・リターンが最大化するようにポートフォリオを自動的に組み立ててくれるそうです。何かわからないけど、すごいような気がしてきます。
さらに・自動分散 ・自動リバランス ・自動税金繰り延べ とこれさえ買っておけば、資産運用は完結しそうなパッケージで訴えてきます。
資産運用は結果がすべて
ウェルスナビは、私たちが自分でオルカンやS&P500を買ったりするのと比べてどれぐらい違うのでしょうか?やはり資産運用は実績・結果を比較して検討したいです。
2016年にウェルスナビのサービスが始まってから、どれぐらい増えたかが公式ホームページに載っていました。
手数料は日次で控除された結果です。リスク許容度4以上なら約7年半で2倍になっています。
次に、MSCI ACWI(ETF 1544)とS&P500(ETF 1547)の同期間のパフォーマンスです。
(eMAXIS Slim シリーズは2018年に設定されているのでデータがないため、同等のETFで比較します。)
結果をパフォーマンスのいい順に並べると
S&P500 (1547):285% (2016年1月ー2023年9月)
ACWI(1544):223% (2016年1月ー2023年9月)
ウェルスナビリスク許容度5:215%
ウェルスナビリスク許容度4:209%
ウェルスナビリスク許容度3:193%
ウェルスナビリスク許容度2:177%
ウェルスナビリスク許容度1:156%
どうでしょう?リスク許容度5のウェルスナビはなかなか健闘しているのですが、やはり株式100%の両ファンドには敵いませんでした。
また各リスク許容度の値動きにも注目すると、リスク許容度1はどの時期においても他のリスク許容度のパフォーマンスを上回っていません。大きく下げるときには連れられて下がってしまい、その後の上昇にはついていけていません。これでは、リスク許容度を下げる意味がありません(*_*)
ウェルスナビのグラフもS&P500やACWIと同じような形を描いており、『リスクを最小にしつつ、パフォーマンスを最大化する』ということが、本当にできているのかなぁ?と少し疑問に感じます。
やっぱり高い手数料
ウェルスナビを利用するときに気になるのは手数料です。
ウェルスナビの手数料はウェルスナビの取り分(税込み1.1%)とETFの経費(約0.1%)の合計1.2%です。
これは1000万円につき年間12万円ということで、最安水準のインデックスファンドの10倍以上になります。
不確実な利益と、確実な不利益
ウェルスナビを使用することで、『リスク(価格変動)を抑えつつ、リターンを最大化できるのか?』という点では、これまでの運用実績から見ると個人的に疑問に感じます。
リスク許容度を1にすると、今回比較したどの資産分配ではどの時点でも『助かった』という場面がなかったです。
今後、ウェルスナビの自動分散・自動リバランスなどの機能によって、オルカンやS&P500の投資信託をそのまま買っているよりよかった!という場面が来るかは未知数です。
ただ、確実に言えることは、そのために支払うコスト(手数料)は、結構高い。
年間60万円(月5万円)を30年にわたって5%の利回りで運用できたとして、支払うべき手数料の累計を計算すると、ウェルスナビには約525万円もの手数料を支払います。
オルカンの信託報酬は30年で27万4000円程度です。
比較したグラフがこちらです。
30年で500万支払うほどのサービスが受けられるかどうか、慎重に検討することをお勧めします。
なにより、テレビCMやウェブCMを打ったり、各地でセミナーを開くには、莫大な経費が掛かり、その原資はこの手数料だということです。そのぶん見返りがあればいいのですが・・・
今の時点では、ウェルスナビの実力は未知数だけど、確実に高い手数料は支払う必要があるよ。ということが言えると思います。